地方エンジニアが頑張るブログ

地方で働くエンジニアがどこまで最新の情報についていけるか、いろんな視点で書いていきます。

資産管理ソフトの比較

※これまでは、評価版をダウンロードして実機で動かしながら
評価をしていましたが、今回は評価版の入手が面倒くさかったので、
実機検証無しので比較となります。


資産管理ソフトを入れる目的はパソコンなどの台帳管理とソフトウェアのライセンス管理ではないでしょうか。

会社にどれだけのパソコンがあって、誰がどのパソコンを使っているなどを台帳で管理できるようにしたいというところでしょう。
また、どのパソコンにどのアプリケーション(ソフトウェア)がインストールされているのか、ライセンス数は足りているのかを
簡単に管理できるものとして資産管理ソフトが役に立つのではないかと思います。

台数が少なければ自分でExcelを使って、自分の目で1台1台確認していけばいいのですが、
機器の設置場所が離れていたり、台数が数百台とかになると時間がかかってしまいますし、ヒューマンエラーによる記述ミスも出ます。

資産管理ソフトでは、事前に各パソコンに資産管理用ソフト(エージェント)をインストールしておきます。
そして集中管理用の機器を用意して、各パソコンで動いているエージェントから情報を収集して自動的に台帳を作成します。
これでわざわざ現物を目視で調べて、台帳を作成する手間が省けます。
台帳にはOSのバージョン、インストールされているアプリケーション、使用ユーザなど様々な情報が含まれています。

必須となる機能は上記のものになりますが、この遠隔からネットワーク経由でパソコンを管理できるようになったことで、
他にもいろいろなことができるようになりました。

たとえば
・対象パソコンを遠隔から操作できる。
・対象パソコンでの操作を制限できる(USBを使わせないなど)
・複数台のパソコンにアプリケーションを一斉配布でインストールさせる。
・インターネットへのアクセス制限をする。
・電子メールを監視することができる。
・社内ネットワークに管轄外のパソコンが繋がらると検知することができる。

単なる「資産を管理」するだけでなく、「制御」したり、「セキュリティで守る」ということもできます。

今の製品は多岐に渡っているため、どの製品を選んだらよいのかわからないため、
私が今すすめる製品に絞って評価してみようと思う。

評価項目として
①使える機能
②オプション機能
③導入
④使い勝手(←今回は評価できなかったため、評価対象外とします)
⑤サポート体制
⑥最後に価格(ライセンス)

現在私が知る限り、資産管理ソフトと言えばこの3製品がメジャーではないかと思います。

○SKYSEA Client View(Sky株式会社)
○Lanscope Cat(エムオーテックス株式会社)
○AssetView(株式会社ハンモック)

実際に資産管理

○SKYSEA Client View(Sky株式会社)

2007年頃から提供している認知度と実績があるソフトです。

○Lanscope Cat(エムオーテックス株式会社)

2004年頃から提供しているソフトです。
認知度はあるかもしれませんが、SKYSEAと比べるとどうなんでしょうね。
実績に関しては大規模システムにも対応しているため、
パソコンが1000台以上でも管理できます。

○AssetView(株式会社ハンモック)

2000年頃から提供しているソフトです。
認知度、実績ともに、上記2社と比べると低いかもしれませんが、
機能の豊富さや、サポート体制については一日の長はあります。

 

サーバーのバックアップソフト評価・比較

サーバーのバックアップでいろいろなバックアップソフトを
扱う機会があったため、まとめてみようと思う。

注意点として、製品も日々新しくなり、これまで不得意としていたものが、
バージョンが上がって使いやすくなることもあります。
逆に改悪あされてしまって使い物にならない場合もあります。
ここのブログを参考にしつつ、最終的には実際に検証してみることを勧めます。

比較するにあたっての条件は以下のようなことを中心に見ています。
・バックアップのしやすさ
・リストアのしやすさ
・サポート体制のしやすさ
クラウド機能は使わない。

◆Acronis Backup 12.5 (アクロニス社)

私がお気に入りの製品です。
WindowsLinuxにも対応しています。
他社製品に比べれば後発の製品になりますが、
販売された当初から、使い勝手、バックアップスピード、バックアップサイズの小ささ、
問い合わせのサポート体制と、どれをとっても良いところしかありません。

残念なことは、バージョンが上がって、ユーザインターフェイスの使い勝手が悪くなったことです。
慣れればどうってことないですが、バージョン11のほう使いやすかったです。

◆Activeimage Protector 2018 (ネットジャパン社)

2番目におすすめなのがこの製品。
気に入っているのは「国産」であるという点です。
問い合わせについても、電話で即SEが答えてくれるので、
ストレスなく、質問も投げられるのが良いです。

懸念点としては、過去にADのリストアが不具合で戻せなかったということがありました。
バックアップが正常に完了しているのに、リストアができなかったというのは致命的です。
一度こういうことがあると、トラウマになって使いたくなってしまう・・・

◆Arcserve Backup

昔からある製品で、他社製品だとあまり見られないテープ装置へのバックアップもできます。
基本的に他社製品にあるものはすべて対応しているというのが強みです。
ただし、私はこの製品は嫌いです。
他社製品でディスクtoディスクをやろうとすると
直感でやることはできません。
とにかく操作性が昔から変わっておらず、バージョンがあがっても
一向に改善される気配がありません。
バックアップデータも小さくなることもない。
バックアップジョブを途中でキャンセルしても、キャンセルが完了するまで待たせられる・・・。

良いところといえば、「Arcserve Replication & High Availability」の製品は
レプリケーションクラスタ構成などが組みやすいです。

オンライン・デモがあるので参考までに。
https://www.arcserve.com/jp/jp-resources/online-demo/

◆Arcserve UDP 6.5 (arcserve社)

Arcserve Backupが多機能であることに対してArcserve UDPは機能を絞って提供しています。
こちらはディスクイメージでのバックアプしかできませんが、設定が簡素なので、感覚的に設定できます。
まるごとバックアップ、まるごとリストアであればUDPで十分です。

気になるのは、機能が簡素になっている割にはインストールに時間がかかりすぎ。
あえてこの製品を使わなくても、他社製品が使い勝手がいいですからねぇ。

◆Backup Exec 20.2(シマンテック社/VERITAS社)

Arcserve Backupと同様にテープ装置など様々なハードに対応しており、
大規模システムでも稼働させる能力があります。
日立から出ている「統合システム運用管理 JP1」との連携でも使用されます。

面倒くさいのは、バックアップ先に共有フォルダを指定するときは、
Backup Exceのサービスを動かしているユーザと同じユーザを共有フォルダ上のマシンに追加しないと共有フォルダが開けない。
そのくらいユーザ認証機能をつければどんなユーザでもアクセスできるようになるのに・・・
他社製品で当たり前のようにあるものが無いのがイラっとします。
また、マニュアル等をしっかり読んでおかないとハマります。

問い合わせの窓口は電話しかない。
メールで簡単に問い合わせができない。

◆NetBackup(シマンテック社/VERITAS社)

日立から出ている「統合システム運用管理 JP1」との連携でも使用されます。
大規模システムでも使われるソフトであるため、
複数のOSをサポートし、仮想環境にも対応しています。
災害対策の遠隔地への複製も考慮された設計になっています。

こちらは私の方で検証ができなかったので感想はかけませんが、
ネットの情報を読む限り、GUIの操作性については、叩かれてますね。


◆System Recovery(シマンテック社/VERITAS社)

この製品も昔からある製品で、実績信頼性ともに高いです。
私もシステム障害で、何度もこの製品でリストアをしました。

まるごとバックアップの機能しかありませんが、
使い勝手もよし、設定も簡単、リストア手順もシンプルと言う事なしです。


◆総評
個人的には以下のソフトがおすすめ。

①Acronis Backup
 使い勝手もよし、バックアップスピードもよし。圧縮率が高いのも良い。

②System Recovery
 使い勝手がよく、バックアップ状況がわかりやすく、リストアも簡単です。

③Activeimage Protector
 使い勝手がよく、ユーザサポートの対応がしっかりしてます。

結局のところ、以下にストレスフリーでバックアップとリストアができるか重要だと思います。

 

Hyper-V上の仮想マシンが遅い時の対処方法

WindowsサーバーにてHyper-V仮想マシンを立てて動かしたときに、想定以上に遅くなることがあります。

そのときにどのような調査を行い、どのような対応ができるのか箇条書きしてみました。

 

◆調査方法

まずは現状の把握です。パフォーマンス状態を見てきましょう。

パフォーマンスは「タスクマネージャ」や「パフォーマンスモニター」で確認できます。

・ホスト(物理)マシン上のCPU使用率、メモリ使用量、ディスク稼働率、通信量の状態を確認する。
仮想マシン上のCPU使用率、メモリ使用量、ディスク稼働率、通信量の状態を確認する。
・データベースのメモリ割り当て量と使用量を確認

 Oracleのメモリ割り当て量

  sqlplus / as sysdba

  show parameter sga_;

  Oracleのメモリ使用状況

  以下のサイトを参考にしてみてください。

  http://www.doppo1.net/oracle/tuning/memory.html

   サイトを見てもわからなければ、タスクマネージャを立ち上げて、

  「Oracle~」から始まるプロセスを見たら、メモリの利用状況だけは確認できます。

 SQL Serverの場合はマネージャを立ち上げて、サーバを選択してプロパティ

・MS SQL ServerのクエリアナライザでSQLを解析

OracleのPerformance ManagerでSQLを解析

 ◆ホスト上

・ホストマシンのメモリを潤沢にするホストマシンのHDDを速くする(HDDを増やす、

 SSDにする、RAID構成を考える)ホストマシンのCPUを追加する。

・電源管理を「高パフォーマンス」に変更する。

・システムの視覚効果にて「パフォーマンスを優先する」を選択

・不要なサービスは無効

・不要なアプリケーションはアンインストール

◆仮想上

・仮想のCPUとメモリを増やす・HDDを可変から固定にする・仮想マシンに割り当てるメモリにて、「動的」のチェックを外す・スナップショットを無効にする

◆データベース上

・データベースへのメモリ割り当て

・必要なインデックスの定義

・テーブルの最適化

サーバのバックアップについて考える

 

エンジニアとしてシステムのバックアップは必須のスキルと言えます。

一言「バックアップ」といっても、たくさんの要件がでてきますので、
具体的に考えていくといろんな方法が考えられてきます。

ここでは7つのグループに分けてみたので、1つ1つ見ていきましょう。

①なぜバックアップが必要なのか?
②何を取るのか?
③どうやってバックアップするのか?
④どこにバックアップするのか?
⑤どのタイミングでバックアップするか?
⑥いつまで保管しておくのか?
⑦バックアップデータはちゃんと元に戻りますか?

①なぜバックアップが必要なのか?

 漠然とバックアップを取ってませんか?
 無駄にバックアップを取ってしまい、リソースの無駄遣いをしてませんか?
 何かあったときに戻せますか?リストアできますか?
 バックアップしたファイル/イメージはちゃんと元に戻りますか?

 すでにバックアップを取っている人は、なんらかの理由でバックアップを
 取っていますが、本当にそれで十分ですか?

 今一度何を取る必要があるのか、②を参考に再考してみましょう。

②何を取るのか?

 バックアップする単位として、最小構成からいくと、

 ・ファイル単位
 ・フォルダ単位
 ・ドライブ単位(C:\など)
 ・パーティション単位
 ・ディスク単位
 ・ボリューム単位

 下の構成になるほど、バックアップ対象の容量は大きくなります。
 容量が大きくなるということはバックアップ時間も長くなります。

 ・ファイル単位、フォルダ単位
  これが一番小さい単位のバックアップになるんじゃないでしょうか。
  給与のExcelファイルを別のコンピュータにコピーしておくというのも立派なバックアップです。
  
 ・ドライブ単位
  WindowsではCドライブ、Dドライブと、ドライブ単位で示されることがありますが、
  このドライブ単位でバックアップをします。
  ドライブ単位のメリットは、大抵CドライブにWindowsシステムが入っているので、
  これをドライブごとバックアップすることで、元に戻すときにシステムが動く状態で
  戻すことができます。
  ファイル単位やフォルダ単位のバックアップでは、非表示のシステムファイルが取れないことがあります。

 ・パーティション単位
 1つのパーティションに複数のドライブが入っており、1パーテょションをまとめてバックアップする時に
 使用します。サイズにもよりけりですが、ドライブ単位でとったほうがいいのかディスク単位で取ったほうが
 いいのか、状況次第です。
 
 ・ディスク単位
  該当のディスクをまるごとバックアップする方法。
  ディスクの中身をすべてバックアップするので、バックアップしたデータをそのまま別のディスクに戻すと、
  同じ環境になります。
 
 ディスクをまるごとバックアップするため、元に戻す作業がシンプルになるので、
 サーバー系では採用しやすいです。
 
 ・ボリューム単位

  ストレージやRAID構成など、容量が大きい構成においてボリューム単位でバックアップすることがあります。
  容量が大きいので、通常のバックアップ方式ではなく、スナップショットやフラッシュバックアップを使います。

 ・RAID機能
 
 バックアップという概念とはちょっと違いますが、使い方によっては上記のようなことをわざわざしなくても
 自動的にバックアップしてくれるので、こちらも併せて考えてみるのはいかがでしょうか。
 
 たとえばRAID1の構成では2台のディスクに対して、同じデータの書き込み処理をします。
 常に2台のディスクの中身を同じ状態にすることからミラー構成と言われます。
 このときどちらか一方のディスクが故障したとしてももう一台のディスクで動き続けます。
 故障したディスクは新しいディスクに交換すると、動いていたディスクのデータをまるごとコピーして再構成して
 同じ状態にしてくれます。
 バックアップを意識しなくても常に同じデータが2台のディスクに入っています。

 RAIDにはほかにもRAID0、RAID5、RAID6、RAID10などがあります。

③どうやってバックアップするのか?

 最小構成のファイルやフォルダをバックアップ
  対象ファイル/フォルダをドラッグ&ドロップでコピー。
  対象ファイル/フォルダをコピーコマンドを使ってコピー

 バックアップソフトを使ってバックアップ
 ドライブ単位やパーティション単位、ディスク単位、ボリューム単位など、使うソフトウェアによって
 できるできないがあります。

 バックアップソフトについては有償のものと、無償のものがあります。
 
 有償と無償では何が違うか?
 1番の違いはサポートでしょう。
 有償のものを買えば、バックアップ方法や復元方法などを問い合わせれば、やり方を丁寧に教えてくれます。
 無償版はすべて自己責任でやる必要がありますが、自己解決できるのであればお金はかかりません。
 
 また有償版ではいろんなバックアップ装置に対応していたり、
 バックアップデータを履歴のように世代管理をすることもできます。


④どこにバックアップするのか?

 バックアップしたデータはどこに置きますか?

 たとえば、隣のパソコンに大事なファイルをコピーしました。
 水害でその建物全体が流されました。
 バックアップ先として隣のパソコンにしたことは正しいですか?

 バックアップはあくまでも何か不測の事態になった時のためであるため、
 その不測の事態をどこまで考えておく必要があるのかが大事です。

 バックアップ対象としては最小規模から最大規模まで考えていきましょう。
 ・USBメモリ
  一番手軽なバックアップ対象です。持ち運びも簡単です。

 ・外付けHDD
  USBメモリよりは容量が大きくなります。コピーも簡単です。

 ・同じ建物内のコンピュータ
  バックアップしないよりはいいですね。

 ・市外、県外の建物のコンピュータ
  災害による損失をなくすためにはよいと思います。

 ・海外のコンピュータ
  よほどのことが無い限り使おうとはしませんが、国内でクーデーターや
  戦争などが起きることを考慮すると、海外も視野にいれてもいいのではないかと思います。

 ・クラウド
  拠点外のバックアップ先として一番簡単なのはクラウドでしょう。
  容量もそれなりに大きくて、使用料も下がってきているので企業としては一考してもいいでしょう。
  
  ただし、クラウド環境はいくらセキュリティを確保されていたとしても
  みんなと共有しているところを使っているため、いつ何時不正アクセスや内部犯行による情報漏えいが
  出ないとも限らないため、使用する際には十分注意する必要があります。
  
  プラベートクラウドという企業向けのクラウドを使うのも一つの手です。

⑤どのタイミングでバックアップするか?

 バックアップ対象が決まったら、そのデータをいつ取りますか?ということになります。
 
 大きく分けると2パターンかな。
 
 ・リアルタイム同期

 新規ファイルができあがったら、バックアップ先に即コピー
 ファイルの更新があったら、バックアップ先も即更新
 
 常にバックアップ元とバックアップ先を同じ状態にしておきます。
 これをレプリケーションといいます。
 
 これのメリットしては、万一バックアップ元のコンピュータが故障で使えなくなったとしても
 バックアップ先のコンピュータは最新の状態になっているので、そのまま使うことができます。
 障害による損失は0に近いです。
 
 ただしレプリケーションランサムウェアには弱いので、世代管理バックアップは必須になります。

 ・スケジュールバックアップ

 システムを定期的にバックアップしておき、万一システムにトラブルがあり、バックアップデータから
 戻す必要があった場合に使用されます。
 リアルタイムではないため、バックアップ後に更新されたファイルは元に戻すことはできません。

⑥いつまで保管しておくのか?

 毎日夜間にバックアップを取っているが、戻せるのは前日の夜間にとったバックアップのみ。
 ユーザから先週消したファイルを元に戻してほしいと言われても元に戻すことはできません。
 
 バックアップデータを過去にさかのぼって、いつまで保持しておくかが重要になります。
 
 定期バックアップでは直近2周間分のバックアップを常に取っておきます。
 
 定期バックアップとは別に、月に1回、半期に1回、半年に1回、年に1回と
 別にバックアップを取っておくことも必要になります。
 実は先月からコンピュータがウィルスに感染していたことが発覚して、
 最新のデータよりも、感染していないときのシステムの状態に戻したいという場合に有効です。

⑦バックアップデータはちゃんと元に戻りますか?

 バックアップしただけで安心してませんか?
 バックアップしたデータは元に戻せる保証はありますか?

 ファイル単位でバックアップしたものは、そのままバックアップ先のファイルを開けばすぐに確認できますが、
 ディスク単位など、イメージでバックアップしたものはそのままでは中身が確認できません。
 
 バックアップしたものは定期的に中身が取得できるか確認しましょう。

 

無停電装置(UPS)の選び方

このページにたどり着いた人は、無停電装置(UPS)を入れないといけないので、
どうやって選べばよいのかわからないのでググってみたらここが出たということでしょう。

できる限り分かりやすく、例をあげながら、進めていきたい思います。

項目とは以下のとおりです。不要な部分は飛ばしてください。

■なぜUPSが必要なのか?
■事前準備(どんな機器を挿しますか?)
■電力に関する情報を収集する。
■皮相電力(VA)を算出する。
■消費電力(W)を算出する。
■供給方式をどうするか
UPSを選ぶ
■バッテリー交換・保守
■100Vか200Vか。
■停電になったらどんな動きをさせるか?
■復旧時の動作について
冗長化

■なぜUPSが必要なのか?

 UPSが必要なる場合はいくつか理由があると思います。
 UPSがない場合はこのようなリスクがあります。

 ①いきなりの停電で、コンピュータが壊れた。
  災害等で電気の供給がストップすると、コンピュータも一瞬で止まります。
  コンピュータにはWindowsなどのOSが入っており、停止させるには正しい手順で止める必要があります。
  正しい停止手順を行わないで、いきなり停止させるとハードディスクにダメージを受けます。
  ダメージを受けることで、コンピュータが起動できない、もしくは特定のファイルにアクセスできないなどの現象が出ます。
  
 ②落雷によって、過電流や瞬断となってコンピュータが壊れる。
  雷が落ちると、電柱などを経由してコンセントまで大量の電流が流れ込んできます。
  大量の電流が機器に流れると、コンピュータ内部の電子機器がダメージを受けます。
  結果的にコンピュータが動かなくなる可能性がでます。

 ③電力の供給が不安定で、コンピュータが壊れやすい。

  日本国内では、このような事象はあまり見られないですが、
  工事現場や開発途中の環境であったり、離島などは電力の供給が安定しないところがあります。
  電力の供給が不安定になると、極端な話、電気がきたり来なかったりするな状況であるため、
  コンピュータが頻繁に落ちるという現象が


■事前準備(何を繋ぐか)

 ここからUPSを選ぶための準備になります。

 まずUPSに何を挿しますか?ということになります。

 必須なのは、停電時にいきなり落ちては困るコンピュータ機器です。
 ディスプレイやスイッチなどはいきなり落ちても基本的に問題ありません。

 今回はUPSの容量も見積もる必要があるため、いろんな機器を挿してみます。

 ○サーバー(またはパソコン)
 ○ディスプレイ
 ○スイッチ(ハブ)

■電気量を調べる。

 UPSに挿す機器の電気量をしらべることで、どのくらいの容量のUPSが必要になってくるのかがわかります。

 まずは各機器の型番を調べて、メーカーのホームページにアクセスして、スペック表を探してください。
 スペック表に「消費電力」の記載があります。「○○VA」とか「○○W(ワット)」とか書いてあります。
 次に「最小」とか「最大」とか書いてありますが、基本的に「最大」の値を見てください。

 調べた結果、以下のようなことがわかりました。単位は敢えてバラバラにしてます。

 ○サーバー   343VA
 ○ディスプレイ 100V 0.8A
 ○スイッチ   124W

■皮相電力(VA)を算出する。

 皮相電力(ひそうでんりょく)とは何か?についてはここでは説明しません。
 VAを算出するために必要とだけにします。
 こちらのサイトが参考になると思います。
 http://solar-nenkin.com/technology/reactive-power-is-like-foam-of-beer/
 
 ○サーバー   そのまま343VAです。
 ○ディスプレイ 100Vx0.8A=80VAになります。
 ○スイッチ   124Wx0.8(力率)=99.2VAになります。
  力率については0.8で計算しています。

 皮相電力の合計は343+80+99.2=522.2VAとなります。

■消費電力(W)を算出する。

 次に消費電力を算出します。

 ○サーバー   343VAx0.8(力率)=274.4W
 ○ディスプレイ 100Vx0.8Ax0.8(力率)=64W
 ○スイッチ   そのまま124Wになります。
  力率については0.8で計算しています。

 よって消費電力の合計は、274.4+64+124=462.4Wになります。

■余剰分を加味する。

UPSは使い続けると、バッテリーの最大容量が小さくなってきます。
これは普段使っているスマホのバッテリーと同じです。
使えば使うほど、バッテリーで駆動できる時間が短くなります。

UPSは代替2~5年くらい使うので、使い続けていても容量不足にならないようにしましょう。

皮相電力の合計値と、消費電力の合計値にそれぞれ1.3倍ほど盛っておきましょう。

皮相電力 522.2VAx1.3=717.86VA

消費電力 462.4Wx1.3=601.12W


■駆動時間を算出

停電になったので、バッテリー供給に切り替わりました。
コンピュータがそれを感知してシャットダウンを実行しました・・・が、
バッテリーが足りなくなって途中でガツンと落ちました・・・・(T_T)

いくらバッテリー供給に切り替わっても、正常にシャットダウンできるまでの時間は
バッテリー供給できるように計算しておく必要があります。
メーカーでは「バックアップ時間」と書いてある場合があります。

バックアップ時間については、各システムがバッテリーに切り替わったことを検知してから
システムのシャットダウンがすべて完了するまでの時間になります。

また、バッテリーの消耗も考慮して、必要とするバックアップ時間の倍は確保しておくのが望ましい。

 バックアップ時間が5分必要なのであれば、10分とします。

■供給方式をどうするか

 供給方式としては以下の3つがあります。
 ①常時インバータ給電方式
 ②常時商用給電方式
 ③ラインインタラクティブ方式

 詳しくは書きませんが、
 ①は、電源供給からバッテリーへの切替時も瞬断することがありません。ただし高価。
 ②は、バッテリー供給への切替時に瞬断は発生しますが、安価です。
  瞬断といってもパソコンやサーバーが落ちるほどではありません。
 ③上記①と②のいいとこ取りです。

 価格と性能は①>③>②となります。

 ②の常時商用給電方式については「正弦波(せいげんは)」と「矩形波(くけいは)」があります。
 PCやNASを接続する場合は正弦波がよい。
 矩形波には機器が対応してない(サポート外)という場合があるので、できれば矩形波UPSは避けたい。

詳細についてはこちらが参考になります。
http://www.yutakadenki.jp/products/340_ups_diff.html

UPSを選ぶ

ここまで来てようやくUPSを選ぶ段階にきました。
これまでの情報をまとめてみましょう。

皮相電力     717.86VA
消費電力     601.12W
バックアップ時間 10分
供給方式     常時商用給電方式で正弦波

以上の情報からメーカーサイトで上記の条件や数値以上の能力をもつUPSを選びます。

 

~~~ここまでがUPSの選定になります。ここからはUPSに関する補足情報になります。~~~

 

■バッテリー交換・保守

 長く使い続けるとバッテリーが消耗します。大体2年くらいまでかな。
 消耗したバッテリーでいざ停電になったときに、システムが正常にシャットダウンするまで
 保たないかもしれません。
 
 こういった問題が起こらないように、UPSにはある程度のバッテリー低下が見られたら
 警告(アラート)が出るようになっています。これが出たらバッテリー交換のサインです。
 
 バッテリー交換については、UPS購入時の契約内容で有償か無償かに分かれます。
 
 メーカーによって、警告が出る前の「予防交換」というのをサービスでやっているところがあります。

■100Vか200Vか?

みなさんが普段使っているコンセントは100Vです(自宅の壁やオフィスで使っている電源タップなど)

今回の仕様は200Vかも!?という人だけ読んでください。

200Vを使う場合とは、身近なものだとエアコンがあります。
でもエアコンをUPSで使うということはないですね。

200V対応の機器というと、ブレードサーバーやストレージ製品、大型筐体など、
高電力を必要とするものが対象となります。

UPSも200Vに対応した機器を選ぶ必要があります。

200VUPSを使用する場合に注意しないといけないのがコンセントの形状です。
100Vの場合は、コンセントの形状は縦線2本のものになるか、アース付きの3本になります。

200Vになると3本もしくは4本になり、挿す口の形状も多数あるため、
コンセント側の口の形状と、UPS側の口の形状とを併せる必要があります。

■停電になったらどんな動きをさせる?

 UPSを入れたのでこれで安泰ですね
 「あっ、停電した!!でも大丈夫!!UPSがあるからシステムは落ちませーん。」
 ・
 ・
 ・
 (30分後)
 システムが落ちちゃいました。
 UPSのバッテリーがなくなったので、システムがそのまま落ちました・・・再起不能・・・

 UPSを入れたからといって安心してはいけません。
 落雷とかの瞬断くらいであれば問題ありませんが、停電など長時間止まる場合などは、
 システム側になんらかの処理をさせる必要があります。
 
 バッテリー供給に切り替わったら、手動でシステムをシャットダウンさせるか
 自動的にシステムがシャットダウンする方法を2通りです。
 
 日中の仕事中の停電であれば手動でも構いませんが、夜中とか年末年始とか
 人が近くにいない時は手動での対応はできません。
 
 そのため、メーカーでは自動的にシステムを停止させる方法をいくつか提供しています。
 
 ①UPS本体とシステムをシリアルケーブルで接続する。
 
  シリアルケーブルで接続することで、UPS本体がバッテリー供給に変わったことを
  システム側へ通知します。通知を受けてシステム側が設定に従ってシャットダウンします。
 
  シリアルケーブルでの接続は基本的にUPS1台に対して1台のシステムとなります(2台可もある)
 
 ②UPS本体とシステムが同じネットワークに繋がっている
 
  UPSとシステムがLANケーブルからスイッチに繋がっている状態にします。
  バッテリー供給に切り替わると、UPSからネットワークを経由してシステム側へ通知します。
  受信したシステムは設定に従ってシャットダウンします。
  
  このネットワークシャットダウンの構成を組む際には、UPS本体とシステムと間のネットワークが
  停電になっている状況でも接続できている必要があります。
  ネットワーク機器もUPS等で停電から守るようにしましょう。


 最後にUPS本体をどうするかになります。
 バッテリー残量がある限り動き続けるようにするのか、時間になったら本体ごと停止させるか。
 特に理由がなければ、落としてしまうのがいいでしょう。
 停電になってもバッテリーがある限り動かしておきたい場合は前者の対応で構いません。

■停電から復帰時の挙動について

 復旧時の動作まで考えることができれば立派なUPSマニアです(笑)

 急な停電で電源供給からバッテリー供給に切り替わりました。
 システムはバッテリー供給に切り替わったことを検知して自動的にシャットダウンしました。
 
 はい、ここまでは設定通り。
 
 次に停電が回復し、電源供給となりました。

 そのときにUPS本体およびシステムの動きをどうするかにします。
 
 特に指示をしない限り、手動で起動させるしかありません。
 近くに機器がある場合は手動対応で構いませんが、機器が離れている場合は、
 システムが自動的に復帰してくれたほうがいいですよね。

 電源が復帰したら、まずUPS本体の電源が入ります。
 UPS本体からシステムへの電源供給が可能な状態になったら
 システム側がそれを検知して、自動的にシステムが起動。

 システムの自動起動についてはBIOSで設定しておく必要があります。
 こちらはシステムを購入したメーカーのサイトで確認してください。

冗長化(二重化)

 UPSは1台入れておけば、まぁまぁ電気の供給で障害が発生してもバッテリーが動くので問題ありません。
 しかし、UPSも機械ではあるので故障する場合もあります。
 それを補うためにUPSをもう一台用意します。
 
 2台のUPSを使いますが、この場合は機器側も電源が2個以上ついているものでないといけません。
 サーバーだと電源が2個ついていることがよくあります。
 電源1口を1台のUPSのコンセントに挿し、もう一つの電源をもう1台のUPSに指します。
 これでどちらかのUPSに問題が発生してもサーバーが止まることはありません。

 UPS冗長化の必要性は、対象機器がミッションクリティカル(最重要)な場合であり、
 通常は1台で十分です。

 

最後に
オムロンAPCではどのUPSを選んだらよいのか、UPS選定ツールというのが提供されていますので、
そちらを参考にしながらやってみるといいでしょう。

また、メーカーに電話やメールで問い合わせることで、こちらから接続する機器の型番や、
電力に関する情報を伝えれば、どのUPSを使えばよいのか教えてくれます。